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誰にでも優しい男がモテない理由女性が語った本音と逆転条件

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優しいのに、なぜか選ばれない

職場でも飲み会でも、誰に対しても気を遣える。困っている人を見れば動けるし、話を聞くのも苦じゃない。自分では優しい人間だと思っている。なのに気づけばいつも「いい人」止まりで、恋愛に発展しない。

誰にでも優しい男性が抱えるこの悩みは、モテたい男性の中でも特殊な苦しさだ。優しさは武器のはずなのに、なぜか機能しない。むしろ優しさを出せば出すほど、女性との距離が縮まらない気がする。

なぜそうなるのか。今回、複数の女性に取材した。誰にでも優しい男性に惹かれた経験と、同じ理由で幻滅した経験の両方を持つ女性たちだ。彼女たちの言葉は、優しさというものの本質を、予想よりずっと深いところから切り裂いてきた。


取材が始まった土曜の昼下がり

神楽坂の細い路地を入った先にある、フランス風の小さなビストロで、最初の取材相手、あやさん、32歳の広報職と向き合ったのは土曜の昼だった。石畳の外観が窓越しに見えて、店内はランチタイムを過ぎてほとんど客がいなかった。

あやさんはサンドイッチに手をつけないまま、最初からこう切り出した。

「誰にでも優しい男の人って、一種類じゃないんですよ。本当に優しい人と、優しくしないと不安な人。見た目はそっくりだけど、中身は全然違う。私、それを見分けるのに3年かかった」

3年。その言葉の重さが、取材の方向を決めた。


誰にでも優しい男が「いい人止まり」になる本当の理由

誰にでも優しい男性がモテない、という現象は、優しさそのものに問題があるわけではない。問題は、その優しさが誰にでもという点にある。

女性が恋愛の文脈で優しさをどう処理しているかを知る必要がある。好きな人から受け取る優しさは、特別性の証明として機能する。他の誰にもしていない何かを、私にしてくれているという確信があって初めて、優しさが恋愛感情と結びつく。

誰にでも優しい男性の場合、この特別性の証明が成立しない。優しくしてもらっても「これ、みんなにやってるやつだ」と女性は瞬時に気づく。気づいた瞬間に、感情の温度が一段下がる。

あやさんはこう言い切った。「誰にでも優しい人に優しくされても、ときめかないんですよ。自販機に感謝しないのと同じで。出てきて当然のものに、感動はしない」

自販機。残酷に聞こえるかもしれないが、女性の本音として受け取るべき言葉だ。

女性が「この優しさ、私だけじゃない」と気づく瞬間

2人目の取材相手、れいかさん、29歳のデザイナーは、具体的な瞬間を教えてくれた。

「好きだった人と、友達も一緒にご飯に行った時のことで。彼が私に対してすごく気を遣ってくれてるのを見ていいなって思ってたんですね。でもその夜、友達にも全く同じ口調で、全く同じトーンで話しかけてるのを見た瞬間に、あ、これ私にだけじゃないんだって気づいて。帰り道にどっと疲れた」

「疲れた、という感覚が面白いですね」

「なんか、期待してた自分が馬鹿みたいで。しかもその人に悪気がないのはわかってる。ただあの瞬間に、この人を好きでいることが急に虚しくなった」

期待が馬鹿みたいだった、という言葉。誰にでも優しい男性が知っておくべき、女性の内側の動きだ。


幻滅した・惹かれた、両方の体験

全員に同じ顔をする男が、一番怖かった

3人目の取材相手、みおさん、27歳の看護師。彼女の話は、幻滅というより恐怖に近かった。

「前の職場に、全員に完璧に優しい男性の先輩がいて。最初は本当に素敵な人だと思ってたんですよ。後輩にも丁寧だし、患者さんにも穏やかだし、上司にも礼儀正しいし。で、ある日その人に食事に誘われて、行ったんです」

「どうでしたか」

「最初の1時間は普通に楽しかった。でも途中で気づいたんです。私に向けてる顔が、職場の時と全く同じだって。仕事中と、二人でいる時と、表情も声のトーンも全部おんなじで。プライベートで会ってるのに、業務モードで来られてる感じがして、なんか寒気がした」

「寒気、というのは」

「この人、本当に私に会いに来てるのかなって思ったんですよ。誰でもよかったんじゃないか、私じゃなくても同じ顔で来るんじゃないかって。そう思ったら怖くなって、食事の後に告白されたんですけど、断った。断ってから3日間、自分の判断が正しかったのか悩んだけど、たぶん正しかったと今でも思ってる」

全員に同じ顔をする人間に、人は安心できない。みおさんが感じた寒気の正体はそこにある。感情に輪郭がない人間と二人きりになると、自分が何者として扱われているのかわからなくなる。

優しいのに、確かに特別だと感じた理由

あやさんには、誰にでも優しい男性に惹かれた経験もあった。

「今の彼氏の話なんですけど、彼も誰に対しても優しい人なんですよ。でも彼には惹かれた。なんでかっていうと、私にだけ、ちょっとだけ素が出てたから」

「素が出る、というのは」

「みんなの前では丁寧な言葉で話すのに、私と二人の時だけ、たまにため口になる瞬間があって。最初はなんか失礼だなと思ったんですけど、あとから気づいたら、あれが嬉しかった。気を抜いてくれてるっていうか、ちゃんと私だけに向けてる顔があった」

完璧な優しさより、少し崩れた瞬間のほうが刺さる。れいかさんとみおさんの話と合わせると、非常に重要なパターンが見えてくる。


優しさの希釈という現象

誰にでも優しい男性に起きていることを、私は優しさの希釈と呼んでいる。

原液のジュースは濃くて味がある。水で薄めれば薄めるほど、味は消える。優しさも同じで、向ける相手が増えるほど、一人あたりに届く濃度が下がる。女性が恋愛の文脈で求めているのは、原液に近い濃度の優しさだ。100人に向けている優しさの100分の1ではなく、自分にだけ向けられた、少し不格好でも濃い何かを求めている。

あやさんの言葉が刺さった。「彼氏になる男の人って、全員に優しくなくていいんですよ。むしろ、私以外には少し雑でもいい。そっちのほうが、私への優しさが本物に見える」

炎上覚悟で言う。誰にでも優しい男性がモテないのは、優しさが足りないのではなく、優しさが多すぎるからだ。絞れていない。特定の方向に集中できていない。その結果、誰にも刺さらない。誰にでも優しい男性に本当に足りないのは、優しくしない勇気だ。


感情の輪郭がない男という問題

みおさんが感じた寒気の正体に戻ると、誰にでも優しい男性の多くが抱えている問題が見えてくる。感情の輪郭のなさだ。

感情の輪郭とは、好き嫌い、心地いい・心地悪い、この人には近づきたい・この人とは距離を置きたい、といった内側の区別のことだ。これが明確な人間は、接する相手によって自然と態度が変わる。全員に同じ顔はできない。感じていることが違うから。

誰にでも同じ優しさを向けられる人間は、感情の輪郭が薄いか、輪郭があっても外に出さない選択をしている。どちらにしても女性には同じに映る。この人、何を考えているかわからない、と。

れいかさんはこう言っていた。「感情がない人と一緒にいると、自分の感情の置き場所がなくなる感じがするんですよ。私がどんな顔をしても、相手が変わらないから。鏡がないところで踊ってる感じ。虚しい」

鏡がないところで踊っている感じ。この表現に、感情の輪郭がない男性と関わることの本質が詰まっている。


誰にでも優しい男がモテに変わる、たった一つの条件

誰にでも優しいことをやめる必要はない。問題は、その上に何も乗っていないことだ。

モテる誰にでも優しい男性と、いい人止まりの男性の差は、たった一つの条件で決まる。好きな女性の前でだけ、少し変わるかどうかだ。

変わるというのは態度を豹変させることではない。ほんの少し、素が出る瞬間があるかどうか。緊張している様子が見える瞬間があるかどうか。あなたに対してだけリアクションが違う瞬間があるかどうか。

あやさんの彼氏が惹かれた理由は、完璧な優しさではなく、彼女の前でだけため口になった瞬間だった。その一瞬が、あなたには特別に気を抜いているという信号になった。完璧さの崩れが、特別性の証明になった。

これだけで十分だと私は確信している。誰にでも優しくしながら、好きな人の前でだけちょっと崩れる。それができれば、優しさという武器は初めて機能し始める。


女性が本当に求めていた「優しさ」の正体

取材の最後に、3人全員に同じ質問をした。あなたが本当に求めている優しさとは何か、と。

みおさんは少し考えてから言った。「全員に優しい人より、私にだけ意地悪を言える人のほうが、信用できる。嫌いじゃないと意地悪って言えないから」

れいかさんはこう答えた。「私がいる時だけ、ちょっとだらしなくなれる人。完璧でいなくていい場所として選ばれてる感じが、一番好き」

あやさんはこう言った。「誰にでも優しくていい。でも私への優しさだけ、理由があってほしい。なんとなくじゃなくて、あなただから、っていう理由が」

3人の答えに共通しているのは、優しさの量ではなく、優しさの宛先だ。誰宛かわからない優しさは、届かない。あなた宛だとわかる優しさだけが、感情を動かす。


帰り際、あやさんがコートを着ながらぽつりと言った。

「今の彼氏も、誰にでも優しい人で。最初はまた同じパターンかと思って、警戒してた。でも付き合ってみたら、私にだけ弱音を吐く人だったから、続いてる」

弱音を吐く相手として選ばれること。それが、誰にでも優しい男性が特定の女性に選ばれる、最後の条件なのかもしれない。

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